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天に代わりて不義を討つ

歴史修正主義に反対します。難しいことをやさしく、わかっていると思うことを深く追求して書きます。議論を通じ、対話を通じて真実を求めます。

わさび茶漬けさんとの対話(下)


それから、わさぴ茶漬けさんはこれから戦時の強姦をなくすためになにか特別にすることがあるとお考えでしょうか。

ここまで、議論しておいて、お恥ずかしいのですが、具体策の案が思い浮かびません。
まず絶対条件として、戦争をなくすということです。そして、絶対に好ましくはありませんが戦争になった場合、「人類が何世紀もかかって、作り上げてきた現在のモラル、価値観、そして(女性の)人権」を、信じることしかないような気がします。
しかし、戦時において、むごい友人の死を見たり、自分の死への恐怖で、道徳観や理性がマヒしてしまう中、どうなってしまうのか、僕は兵士ではないので、わからない部分であります。

これは、”戦場の性は一般的、慰安所も売春も強姦も同じ”と言わんばかりの橋下の議論は正しいのか、という問いです。具体的な方策もない、被害者も声を挙げていない戦場の性暴力をどうやって予防するというのか、一度、橋下に聞いてみたいものです。

これはわさぴ茶漬けさんに問いただす意味ではなく、一緒に考えてみようという意味です。私なりの考えを述べて見ます。戦争をなくす、というのが根本的な解決であることはご指摘の通りで 言うまでもありませんが、問題はあくまでも戦場の強姦をなくすにはどうしたらいいか、戦争が前提です。いまもって戦争を根絶できない、できていない状況ではこういう問いも必要です。まず、戦場での強姦がどういうときに起こるか、考察してみます。

第一は極度の緊張がもたらす性欲の解放です。
戦 争に限らず、こういう現象があります。司法試験のときには男子便所でマスターベーションのあとが無数に見られるという話を聞いたことがあります。男性とい うのは極度の緊張状態から解放されたとき無性に性欲を満たしたくなるのです。ベルリン陥落時のソ連兵、南京陥落時の日本兵がその例です。

第二は人種差別と相手国に対する徹底的な憎悪と侮蔑です。強姦は相手の国民に対する懲罰としての意味を持つのです。朝鮮戦争で北朝鮮に侵攻した韓国軍が北朝鮮の女性を強姦したり、慰安婦にしてしまったという例もその一例です。

現代の日本の風潮で私が危機感を持つのは、韓国・朝鮮・中国に対して極度の憎悪を振りまいて朝鮮人は国に帰れとか、朝鮮人を殺せとかわめくひとたちです。こういう思想・感情を持つものが、もし戦場に出れば強姦に罪悪感を感じないのは明らかでしょう。

第三は占領国軍兵士が相手国民に対して圧倒的な権力を手にして、強姦を抑制するべき憲兵がまったく働かないときです。

占 領軍兵士はそもそも武器を持ち、非占領国の市民は武器を持ちませんから、占領国軍兵士は圧倒的パワーを持っています。しかし、憲兵組織がしっかりしていれ ば、占領国軍兵士のパワーは相対的なものになります。また、占領国軍兵士と非占領国市民の精神的文化的地位の力関係というものが結構影響します。ベルリン になだれ込んだソ連軍兵士は最初のうち大変な数の強姦を行いますが、そのうち、強姦絶対禁止の命令が出て違反者は公開銃殺されました。これをきっかけにし て強姦は激減します。その代わりソ連兵はドイツ娘と仲良くするようになりました。おそらく中央アジアあたりから連れて来られた水道の蛇口さえ見たこともな いソ連兵にとって身なりもリッチで自分たちよりはるかに洗練されたドイツ娘に対しては高圧的に振舞うのが憚られたのです。そのため自分が持っている物資を えさにドイツ娘に近づき、情婦として扱うようになったので、暴力的な強姦は形を変えて言ったのです。

これとは逆に南京の日本兵は当時の日 本国内の新聞によって中国人が文化的にも低く、劣っていて性質も悪いと信じ込んでいましたから、ソ連兵のような事情で強姦が終息することはなかったので す。また、慰安所を南京に作れば強姦がなくなるだろうと慰安所を作ったのですが、市中での強姦はなくなりませんでした。

長くなりました が、強姦は戦争がもたらすとは言え、その国の人権・民主主義の程度が高いと少なくとも、大量の強姦事件はなくなります。ベルリンにおけるソ連兵・フランス 軍セネガル兵部隊は強姦が多く、米英軍兵士は強姦はほとんどありません。南京の日本兵もその例に漏れません。

強姦を減らそうと考えるので はなく、人権、女性の権利をきちんと保護し育てる国にすることが何より大切なのです。日本がもし戦争に巻き込まれたら、というような前提を立ててそのとき の強姦はどうするか、というようなことを考えるのはばかばかしいのですが、慰安婦問題が正しく解決できるような国にすることが大切です。

最後に、タラリさんに2つ質問です。

橋下氏の主張。
日韓基本条約は第2条に「両国間の財産、請求権一切の完全かつ最終的な解決」とある。元慰安婦の方には、政府としても反省謝罪するべきだが、国際法上、政府が直接慰安婦の方に賠償することはできない。(そのためアジア女性基金を使った)。

国際法に「政府が個人に賠償することはできない」などという条文はありません。日本政府が国と国の取り決めで賠償は済んだと言っているだけで、しようと思 えばできます。なるからだ、という簡単な理屈です。戦争や植民地による被害は国と国の間のことだけにとどまりません。本当に必要なのはひどい目にあった個 人に対する補償です。

政府や橋下ははじめから慰安婦に謝罪する気がないので、あれこれと理屈をこねているだけです。

そこで、元慰安婦の方に政府が直接賠償金を渡す場合、第3条に「この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は、外交上の経路を通じて解決するものとする」というのに基づき、この外交上の経路というのに「国際司法裁判所」を使うべきだ。

この主張に関して、どう思われますか?

も ともと慰安婦に対する補償は韓国政府が政府にくれ、と言っているのではありません。韓国政府が慰安婦に対して補償すべきだ、と言っているのです。そこのと ころを橋下氏は知ってか知らないでかわかりませんが、国と国の問題のように言いくるめています。そうではなく、元慰安婦という個人が日本政府を相手どって 補償を求めているのです。日本政府が元慰安婦の組織と交渉すればいいでしょう。国際司法裁判所は国と国の間の紛争を調停する機関ですから、橋下氏の主張は 的外れです。


また、最後の質問として、タラリさんが「(慰安婦問題について)私もあまりに希望が拒絶され続けるとあきらめムードにさえなりました。その気分に再び点火されたのが橋下発言であり、吉元玉さんの証言を聞く集会です。」とおっしゃっていますが、
今回の一連の橋下発言(内容はおっしゃってるように、おかしなことだらけと感じているでしょうが)、「ずっと足踏み状態だった慰安婦の問題を揺り動かすことができた」と考えるのか、それとも「全く余計な事」と考えるのか、どちらでしょうか。


橋 下氏のこの問題の原点は「日本だけが世界から侮辱されるのをなんとかしたいい」というものです。同時にもし、これこれの証拠があれば謝罪する、などという ことも言っていますが、これは伝統的な右より保守、右翼、歴史修正主義者などは絶対に口に出さない言葉です。要するにかれは世界からの侮辱をなくすことが できるのが、第一で慰安婦の事実はどうでもいいのです。

慰安婦問題の一番の基本は、強制連行があろうがなかろうが、国家の意思として、女性を拉致した、人身売買した証拠があろうがなかろうが、慰安所の中で悲惨な性暴力を受け続けたという事実です。そしてこの責任は日本軍・政府にあるのです。

こ の一点を見つめないでするいかなる提案も慰安婦問題を解決する一歩にはなりません。ものごとの中にはよかれと思ってやったことが悪い結果を招いたとか、悪 意でしたことがたまたまいい目に転んだということはままあります。しかし、慰安婦問題をごまかしたり、すり替えようとして言ったことには、それが例えいい 結果を生もうがまったく評価はできません。

もしかして、橋下氏の発言が慰安婦の運動に携わる人を奮起させたり、海外から袋叩きにあうこと によって日本の政治家が気持ちを変えるきっかけにでもなったと思いますか。私などが吉元玉さんの集会に出るきっかけを生んで慰安婦に対する関心が高まるこ とがいい方向に向いたと言えますか。橋下発言がいろんな意味で衝撃的だったとしても、元慰安婦を支援する運動は支援するひとたちが主体的に活動することに よってのみ動くのです。いくら衝撃的な発言であっても聞いたひとたちが心に刻んで活動しないことには解決の道を切り開くことはないのです。

ありがとうございます。タラリさんの、主張、おっしゃりたいことは、理解させていただきました。

>これは、”戦場の性は一般的、慰安所も売春も強姦も同じ”と言わんばかりの橋下の議論は正しいのか、という問いです。具体的な方策もない、被害者も声を挙げていない戦場の性暴力をどうやって予防するというのか、一度、橋下に聞いてみたいものです。

全く、僕の個人的な考えです。

強制連行による慰安所>強姦>慰安所・売春

以上の順に、悪いことではないかと思いますが、しかし、すべて人道に反したひどい行為です。どれも、認められてはいけないと思います。

その順番に賛成です。ただし、
軍慰安所>強姦>売春宿
にした方が意味ははっきりします。


橋 下氏は戦場での性の利用がすべて一律に悪いように言うのですが、強制性労働(性奴隷)は強姦より悪いです。犯罪類型で言えば、慰安婦制度は(1)拉致また は略取(2)人身売買(3)監禁(4)組織的・継続的強姦になりますから、単独の、あるいは集合的な強姦よりはるかに悪質です。売春宿は犯罪類型では買売春だけです。た だし、まったくの自由売春というのはほとんどなく、管理売春/強制売春が程度の差こそあれ、伴っていると思われます。ただし、戦前・戦中の世界各国の売春宿は日本の公娼制度よりはずっと自由を認められていたと思われます。

また、軍慰安所のなにが悪いか、そのもう一つの側面は軍・国家が「売春」「性労働」に加担するということです。この行為は倫理的には問題があるもので各国とも根絶を目標とした行為でした。それを他ならぬ国家が行なうということで国家の倫理観が根底から崩れるということになります。


>第一は極度の緊張がもたらす性欲の解放です。
戦 争に限らず、こういう現象があります。司法試験のときには男子便所でマスターベーションのあとが無数に見られるという話を聞いたことがあります。男性とい うのは極度の緊張状態から解放されたとき無性に性欲を満たしたくなるのです。ベルリン陥落時のソ連兵、南京陥落時の日本兵がその例です。

>第二は人種差別と相手国に対する徹底的な憎悪と侮蔑です。強姦は相手の国民に対する懲罰としての意味を持つのです。朝鮮戦争で北朝鮮に侵攻した韓国軍が北朝鮮の女性を強姦したり、慰安婦にしてしまったという例もその一例です。
>第三は占領国軍兵士が相手国民に対して圧倒的な権力を手にして、強姦を抑制するべき憲兵がまったく働かないときです。


こういったご意見、今回ただ橋下叩きだけをしている人からは、なかなか聞けない意見なので、とても参考になります。
ありがとうございます。


>現代の日本の風潮で私が危機感を持つのは、韓国・朝鮮・中国に対して極度の憎悪を振りまいて朝鮮人は国に帰れとか、朝鮮人を殺せとかわめくひとたちです。こういう思想・感情を持つものが、もし戦場に出れば強姦に罪悪感を感じないのは明らかでしょう。

これには、激しく同意です。韓国人、朝鮮人への差別的な発言や行動は、まるで「かつての日本人もそうだった」といっているようで、逆に戦時の日本の悪質な行動をすべて認めているようなものです。日本の評判をひどく落としている行為だと思います。


※タラリさんは、南京事件についても、ご考察、研究をされているようですが、こちらに関しましては、僕は全くの勉強不足でして、タラリさんと議論できるほどではないので、また勉強したいと思っています。


その他の、タラリさんのお考えの趣旨、理解させていただきました。本当に勉強になります。



さて、今回の橋下氏の「慰安婦問題発言」。
僕が注目した理由は、橋下氏が「右派、左派の両方から、嫌われかねない」、そういう発言をしたニュータイプの政治家だと感じたからです。その証拠に、自民・民主・共産党から共同で、問責決議案が提出されました。


おっしゃるように、橋下氏の今回の発言は、日本の侮辱をなくすため、「慰安婦問題」を利用していた気もします。
ですが、僕個人としては、この問題について考え、このようにタラリさんと意見交換をすることができたので、意味があったように思いますし、足踏み状態だった慰安婦問題が、多少動いたのは事実だと思います。

慰 安婦問題がいろんな場所で議論される機会が生じたのはいいことです。しかし、慰安婦問題解決のために1cmでも進ませることができたわけではありません。 慰安婦問題を解決させるのは元慰安婦の方たちやそれを支援する団体、組織の運動の力です。私もそのためになればと思ってブログをはじめたのです。


正直、一連の会見や、討論を聞いていて、橋下の「ディベート力」は日本一ではないかと思いました。ただ、弁論で言い負かしたからといって、それがすべて正しいとは思いません。
残念ながら、マスコミや一部の政治家は、「慰安婦を必要」と言ったことに対して、「橋下が言ったのか、一般論を言ったのか」ということだけに焦点をおいてバッシングをし、肝心な主張については、ほぼノータッチです。
ここは、ぜひタラリさんのように、相手の言ってる事の趣旨をちゃんと理解し、そして反論できる方が、橋下氏と討論していただきたいです。

ディ ベート力なるものをどう測るかの問題があります。確かに橋下はテレビの記者会見などで猛烈に言いますね。ただしパターンとして多いのは橋下のいわゆるフ ワッとした民意の辺りを扇動する、その層がわっと受けるのを誘うような言い方のときに強そうに見えるだけです。きちんと、論理的に内容で勝つというような 議論はかえつて不得手です。典型的な詭弁を使う、とにかく同じことを何回も挑戦的に言って相手の目をくらます、そういう戦術にたけているだけだと思いま す。彼が知識人とか有名人相手にツィッターで挑発したことがありましたが、小林よしのり、この人はもちろん私の立場と正反対の立ち位置ですが、簡単に負け て尻尾を巻いてにげてしまいました。

私は瞬間的な言語能力ではもちろん彼に及びませんが、とにかく、じっくり分析して相手の弱点を暴いて叩きのめすことはできます。

※日韓両方の意見に耳を傾けるという意味で、「吉元玉さんの集会」直接聞いてみたかったです。お話の全容がわかるサイトとかございましたら、教えていただきたいです。ネットでは、年齢矛盾だとかそんなことしか書かれていなくて、肝心のお話の趣旨がわからないので。。。

こ れは要約不可能じゃないかと思います。なぜかというとひとはこういう体験を聞くときにどのようにしてひどい目に会ったのか、どれほどひどい状況だったのか を聴き取ろうとしますよね。ところがどのようにして慰安所に連れていかれたのか、いったん短期間、朝鮮に戻された時期があったのですが、それがどういうわ けなのか、その辺はすーと通りすぎていくのです。そのあたりを個人的にでも聞いてみたいな、という気がするのですが、体験談というのはたいてい、どんな悲 惨な状況でもたんたんとして経緯もわからないことが多いのです。しかし、吉さんが遭遇されたつらい境遇というのはほんの少しの言葉でひたひたと感じられま す。声高にご自分の恨みつらみを謂うな話方では全然ありません。

吉元玉さんのお話は目を見張るようなものではありませんよ。体験のストーリーはたんたんとしていますが、どうしてそうなったのかはちょっとわからない部分が多いので、小説仕立てのような悲劇を期待すると肩透かしに合います。部分的には吉元玉さんを広島に迎え、証言を聞く集会に参加しました。  に書いた以上のことはありません。なぜ、そうなるのか。彼女を騙して連れて行ったひとたちの悪巧みというのは彼女自身はまったく知らないのです。突然、仕 事場が突然移動するわけだって彼女はまったく知らないのです。それから、兵士の性の相手をさせられてどれだけつらかったのか、それは女性として一番言うの がつらい、言えないことです。日本軍将校に日本刀の鞘で何度も殴られた話は強烈でしたが、それよりつらいこともあった。だけど言えないのです。むしろ言わ れない、話されない経験があるからこのような淡々とした話になるのでしょう。(完)