天に代わりて不義を討つ

歴史修正主義に反対します。難しいことをやさしく、わかっていると思うことを深く追求して書きます。議論を通じ、対話を通じて真実を求めます。

橋下ツイスト(4)

 - 2013年06月20日(木)のツイート
橋下はなおも破綻した議論を蒸し返しては、参院選挙で慰安婦問題での失敗を糊塗しようとしている。同じことの繰り返しでこちらもうんざりするが、書かざるを得ない。



毎 日新聞は新聞の体をなしていない。完全に冷静さを失っている。僕が慰安婦についての事実が明確になっていないと言っているのは、国家の意思として組織的に 女性を拉致・人身売買したかどうかの事実だ。この事実があったとして(1)世界からは慰安婦ホロコーストや日系人強制収容所と同じ扱いになっている

僕は各施設で慰安婦の方が意に反して就業したことを否定していない。ただそれが国家の意思としての拉致・人身売買であったかどうかは別だ。(2)施設で意に反して就業したということは他国の軍も利用した現地民間業者の施設でもある話だ。 (3)日本の特殊性は国家の意思としての拉致・人身売買にあるとされている

毎日新聞は強制という言葉で全てを語るからおかしな話になる。僕は全ての事実を否定しているわけではない。僕が否定しているのは「国家の意思としての拉致・人身売買」だ。(4)慰安婦の方が意に反して就業していた事実は否定していない。毎日は完全に誤報だ

(1)「世界」が慰安婦問題を、ホロコーストと同じとか、日系人強制収用所と同じに扱っているとかのソースは見かけない。それぞれ、独特の背景と広がりを持つ事件であって、共 通した部分もあれば違う部分も多い。だいたい、ホロコーストも日系人強制収用所も「女性を拉致・人身売買」しているわけではない。橋下のアジ・デマで間違 いない。

(2)「意に反して就業した」ということは橋下によれば、
>しかし本人の意思に反してというのは法律用語でも二つの意味があって、本人が不本意に感じているという意味と、第三者から強制的にやらされたということの意味が2つある。裁判なら、どっちかを確定するわけです。(2012年8月24日赤旗記者インタビューより)
ということだった。慰安婦の場合、慰安所に拘束されているから当然、後者の意味なのだが、「他国の軍も利用した現地民間業者の施設でもある話だ」ということなら、その証拠を提示してみろ。

(3) 「日本の特殊性は国家の意思としての拉致・人身売買にあるとされている」、これも誰が、どこの国がそんな話をしたんだ、という話。日本の慰安婦制度は一言 で言えば性奴隷制度として世界から非難されている。これが事実だ。「他国の軍も利用した現地民間業者の施設」が性奴隷制度として非難されたことがない。も し、そのような施設があったとすれば、世界中で問題になったはずである。橋下はそのような施設を他国の軍が利用したという証拠を示 せ。もし、それが正しければ隠されていた性暴力を告発した政治家として世界から尊敬を受けるはずだ。


(4)「慰安婦の方が意に反して就業していた事実は(僕は)否定していない」という話だが、橋下は単に不本意だったとでも言いたいのだろう。これは元慰安婦の証言で否定される。これは完全に強制であった。

河野談話ではこの部分は「また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」、「当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である」と表現されている。


 

 

保守主義と歴史認識:/4 否定できぬ慰安婦強制 石原信雄氏に聞く
毎日新聞 2013年06月19日 東京朝刊

 --日本維新の会の橋下徹共同代表の従軍慰安婦をめぐる発言が物議を醸しました。

 ◆ 慰安婦を募集した際の強制性について政府はあいまいだと橋下氏は批判しているが、河野談話の取りまとめに関わった人間からすると強制性は認めている。調査 員を派遣して、慰安婦とされた人たちで政治活動をしていない人を選び、中立的な雰囲気の下で話を聞いた結果、明らかに本人の意思に反するものがあったこと は否定できないという心証を我々は得た。

 --通達などの物証は出ませんでした。

 ◆文献その他からは、日本政府なり軍 部が強制的に慰安婦を募集せよといったものはない。焼いてしまったという人がいるが、そうじゃないと思う。当時の軍だって、本人の意に反してでも集めろな んて文書を出すはずがない。慰安婦の募集は軍部が直接やったわけではない。業者に委託し委託料を払った。業者がノルマを達成するために、朝鮮総督府の巡査 などが業者の依頼を受けて強引に応募させた。工場の挺身(ていしん)隊に行くと言われて行ったら、慰安所で帰してもらえず、だまされたという人もいた。

 --物証がないのに強制性を認定したことに批判もあります。

 ◆当事者のヒアリングで認定したことには、当時から間違いだという批判はあった。今でもある。しかし、宮沢内閣としては、戦時中の不幸な出来事、そうした負の遺産は決着をつけて、日韓の未来志向の関係にもっていきたいと考えた。

 --慰安婦問題や太平洋戦争を正当化しようとの動きはどう見ていますか。

 ◆ 戦後、日本は西欧型民主主義を受け入れた。自由社会のパートナーとしてアメリカとの関係を良好にしていこうというのが代々の政権のスタンスだ。これに対し て、石原慎太郎(日本維新の会共同代表)さんたちは、アメリカは日本を占領政策の延長線で考えているととらえ、日本民族の主体性、独自性をもっと強調しろ というようなことを言うもんだから、アメリカからすれば日米の協力体制を見直すという動きに取れるのだろう。

 --安倍晋三首相と石原共同代表に共通点はありませんか。

 ◆ 安倍首相は日本の政治の最高責任者という立場から、日米協力体制を変えるとか、疑問視する立場はとっていないのではないか。安倍さんは首相になる前は、や やタカ派的な発言をしていたようだが、首相になってからは用心深く発言し行動している。私は村山富市元首相を尊敬している。日米安保破棄が意見だったが、 首相になって軌道修正した。首相とはそういうものだと思う。【聞き手・高塚保】=つづく

 


6 月19日の毎日5面、河野談話の作成事務方であった石原信雄氏へのインタビューも、意図的な見出し。「否定できぬ慰安婦強制」これは完全な論点ずらしだ。 僕が問題としているのは慰安婦の方が意に反して就業したかどうかではない。それが「国家の意思として拉致・人身売買」によるのかどうかだ。(以下、6通のツイッターは繰り返しのみなので省略。)

石原氏の回答は論点ずらしなどではない。慰安婦に対する強制性は(1)いわゆる強制連行と(2)慰安所における性労働の強制がある。「国家の意思として拉致・人身売買」というのは橋下が慰安婦否定のために作った新たな枠組みである。このことは前にも指摘した。安倍が「『人さらいのように、人の家に入っていってさらってきて、いわば慰安婦にしてしまったという』強制連行」という枠組みで慰安婦を否定したがその代わりに立てたのだ。

韓 国サイドへの政治的配慮だったのだろう。しかし歴史的事実について政治的配慮は絶対不可だ。歴史的事実の認定は正確に行いながら、それに対する対処方法は 政治的に判断すれば良い。石原信雄氏が認定した事実を河野談話では正確に表現していない。河野談話は事実があいまいだ。

石原信雄氏は、慰安婦の方の意に反した就業を認めた。しかし河野談話はその事実を超えて、国家の意思としての拉致・人身売買まで認めたような表現になっている。ここが世界に誤解を招いている元凶だ。同じく19日の読売新聞4面は、このあたりのことを正確に論じている。

河野談話は「国家の意思としての拉致・人身売買」などについては言及した事実がない。これも橋下がそのように言いつのるはアジ・デマである。

国 連拷問禁止委員会は、僕の発言を否定するよう日本政府に勧告した。ところが日本政府は法的な義務はないと勧告に応じない。結局僕の発言が間違っているのか 正しいのか、日本政府な何も答えなない戦術に出た。結局、事実を明確にしないまま、世界各国が誤解していることを容認しようとしている。

慰 安婦の利用を正当化すれば、それは今の国際社会では通用しない。しかし事実誤認があるならそれはきちんと正すべきだ。当初は批判を受け、軋轢が生じるだろ う。これまで日本は黙ったままで異議を出さなかったのだから。しかし言うべきことは言うべきだ。批判を恐れて黙ることも国際社会では通用しない

19 日読売4面は問題の本質が分かる。同日毎日5面は誤解がさらに広がる。毎日新聞よ、石原信雄氏はインタビューにおいて「国家の意思としての拉致・人身売 買」までは認めていない。僕の問題提起に真正面から答えるべきだ。僕は慰安婦の方の意に反した就業は否定してない。新聞社の力量の違いが明確だ

国 家の責任は政治責任であり、結果責任である。当時の朝鮮籍、台湾籍を含む日本国民に対し、あるいは中国、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ビ ルマ、メラネシア、オランダ人たちに意に反した性労働を強制した事実がある。国家としての意思の証明があろうが、なかろうが、国家がしたことで多数の女性 の人権を踏みにじったのは明らかである。日本政府は彼女らに対して真摯な謝罪と、応分の補償を行なうべきだ。そのことよりほかに国際社会における信用失墜 を回復する途はない。