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天に代わりて不義を討つ

歴史修正主義に反対します。難しいことをやさしく、わかっていると思うことを深く追求して書きます。議論を通じ、対話を通じて真実を求めます。

橋下ツイスト(3)

 6月4日付けの橋下ツィートである。性懲りもなく橋下が慰安婦問題で反撃を行なって、自分を正当化しようと試みている。。

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慰安婦問題がここまでこじれているのは、日本が国内向けと世界向けに二 枚舌を使ってきたことだ。国内向けには、国家の意思として女性を拉致、人身売買した事実はないと。(*1)そして世界にはそのような事実を認めるそぶり。河野談話 は読み方によってはどちらにも読める霞が関文学の極み。

河野談話は政府・軍の関与を認め、責任をとる姿勢だった。その方針 に抵抗したのは自民党内の右翼だ。そして橋本内閣、第一次安倍内閣で「強制連行の証拠はない」ということをなぜか付け加えた。強制連行の有無は慰安婦に対 する強制の一部であり、たとえ強制連行がなくても政府の責任は免れない(*2)。国家の責任は「意思として女性を拉致、人身売買」をした場合に限られない。政治の 責任は結果責任であり、心ならず慰安婦に苦しみを与えたとしてもあるし、内心はそうなることを予測した上で誰かに命令した場合も、そうなると予測していな かったが、そうなったときに防ぐ手段を講じなかった場合、このすべてが国家の責任となる。橋下の「国家の意思として女性を拉致、人身売買した事実はな」ければ日本政府に責任はないというのは言い逃れである。


>国 連拷問禁止委員会から、日本政府は事実を明確化せよと勧告を受ける。日本政府はあいまい戦略をやめて明確化すべきだ。国家の意思としての拉致、人身売買が あったのか否か。事実をあいまいにすることほど、紛争をこじらせることはない。事実を明確化した上で、評価については政治判断があっても良い。

事実をねじまげてはいけない。国連拷問禁止委員会が日本政府に求めたのは「旧日本軍の従軍慰安婦問題について「政府や公人による事実の否定、被害者を傷つけようとする試みに反対する」こと」だ。橋下に注意せよ、とそういうことだ。


>しかし事実については政治判断があってはならない。慰安婦について日本人の認識と、世界の認識にずれがある。これも慰安婦問題が解決しない根っこだ。1996年に国連人権委員会で採択されたクマラスワミ報告書に記載されている慰安婦の事実の一つはこうだ。

>「仲 間の1人が1日40人もサービスをするのはきついと苦情を言うと、ヤマモト中隊長は拷問したのち首を斬り落とし、「肉を茹でて、食べさせろ」と命じた。性 病消毒のため熱い鉄の棒を局部に突き刺されたり、生き埋めになったり、入れ墨されたりして少女の半分以上が殺された。」(第54項)

>このような事実が国連人権委員会で認定されている。これが世界が認識している慰安婦の姿だ。日本人はそのような認識があるだろうか?もちろんこの事実については日本の歴史学者は否定している(秦郁彦氏)(*3)。このような事実があたったのかなかったのか、明確化すべきだ。

こ のように認識している元慰安婦がいることはだれも否定できない。また、これと同様の暴虐が、多数あったことも誰も否定できない。ひとつの証言だけを取り出 してその詳細について正確かどうかを問題にするのは慰安婦問題をなかったようにするためのいつもの方便だ。また、人権委員会では慰安婦の証言だけでなく、 兵士の証言、日本政府・軍の資料も参照して事実を認定している(*4)。


>世 界が認識している慰安婦の姿と、日本人が認識している慰安婦の姿にギャップがある。ここに問題が解決されない根本原因がある。世界が求めるレベルの反省を 日本人がしていないと。それはそうだ。日本人は、慰安婦の姿についてきっちりと認識していない。日本政府が事実を明確化していないからだ。

日 本人はもっと慰安婦の姿を知る必要がある。それはそうだ。まず、政府にあれこれ言う前に橋下氏が勉強すべきだ。いや、ここまで論理を組み立てられる橋下は勉強は いろいろしているはずだ。しかし、橋下は自分の認識として慰安婦問題のどこに責任があったか、それは一切語らない。反省をしなければならないと言いつつ、 誰が、どの行為について反省すべきか、一向に明らかにしていない。すべて誠意のない詭弁、ごまかしだ。


>国 連が日本政府に、慰安婦についての事実を明確化するように求めた。日本政府はこれまでのように、国内向けと世界向けに二枚舌を使うあいまい戦略を止めて、 国内にも世界にも、同じ事実を明確に主張すべきだ。国家の意思として女性の拉致や人身売買があったのかなかったのか。これが僕の発言の真意だ。

問われているのは慰安婦に筆舌に尽くしがたい苦しみを与えた責任は誰かである。その責任は政府・軍にあった。

>http: //bit.ly/14qBNSH 国家の意思として女性を拉致、人身売買したのか否kかを日本政府は明確化すべき。戦中、世界各国も女性を性の対象とし て利用してきた。ところが日本だけを非難するのは日本だけが国をあげて拉致・人身売買をした点で特殊だったからという。これは事実か

>日本は過去の過ちを直視し反省しなければならない。しかし、日本だけが国をあげて女性を拉致・人身売買したとして非難を受けなければならないのか。全ては、国家の意思として女性を拉致・人身売買したのか否か、この事実の有無による。


日本軍がしてきたのは売春ではない。まず、女性を卑劣な手段で狩り集め、監禁・拘束し、性暴行すなわち強姦を組織的に行なったに等しい(*6)。政 治家としてこの問題に発言しようとするならば、その事実があったか、なかったか自分の認識としてまず語るべきだ。それを行なった上ではじめて政府にどう こうと言える。橋下が行なっているのは事実を曖昧にしたまま、橋下を支持する層に対してアジテーションを行なっているに過ぎない。
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以下の点については別のエントリーを設けて解説します。

(1)橋下が「強制連行なかった」論から「国家の意思として拉致、人身売買したのではない」論にかえた理由。

(2)「強制連行がなければ政府の責任はない」論は通らない。

(3)この事実を秦郁彦氏が否定できたかというとそうではない。

(4)慰安婦に対する強制は慰安婦の証言、兵士の証言、政府・軍の文書資料で証明されている。

(5)日本政府が橋下のいわゆる「曖昧戦略」をとっていることは事実。それは否定しようがない事実だったからである。一方でどうしても日本の責任を明らかにしたくなかった自民党の右翼が責任をとることに反対したからである。この曖昧さは安倍首相もとっている。

(6)世界各国の「女性の利用」の大多数は日本と異なる。すなわち、国家の積極的関与はなかったことである。あるいはその内容について知られている範囲では日本ほどの国家の強い関与はない。その実態に対する被害者からの証言が乏しく、日本の事例ほどひどい例は知られていない。したがって日本とけっして同列に並べるべきではない。