天に代わりて不義を討つ

歴史修正主義に反対します。難しいことをやさしく、わかっていると思うことを深く追求して書きます。議論を通じ、対話を通じて真実を求めます。

橋下ツイスト(1)―橋下は確信がないまま、右翼の言説を垂れ流しているだけ。

橋下の言うことには「ねじれ」が多い。主張の中には矛盾が多い。言っていることはコロコロ変わって常に「ねじれ」を引き起こす。だから「ツイスト」なのだが、「橋下ツイスト」にはもうひとつ意味がある。これから私が橋下のツィートのストーカーになって逐条的に、ときには逐語的にからんで批判をしようということなのである。

それでは始める。これは2013.5.16のツィートに対するストーカーだ。

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笠井さん「論点の重きが変わってきているのかな」これも違う。もともと歴史認識を問われ、認めるところは認めて、主張すべきところは主張すべきとの文脈。当初より、慰安婦問題では強制連行の有無が重要な論点になると言うことのための発言。日本の責任回避のための論ではない。

 

強制連行の有無はどうでも良いと言うあいまいな態度は国内では良いのかもしれない。強制連行があろうとなかろうと恥ずべきことをやったのは事実だ。ただ強制連行の有無は世界的評価には大きく影響する。日本だけが特殊な性的奴隷を活用していたと認識されている。ここだ問題だ。

 

強制連行の有無は慰安婦問題の中核ではない。女性が望まざる性サービス、性労働を強制されたのか、否かという問題だ。それがあったからこそ、性奴隷と呼ばれている。性奴隷を設置したのは日本だけではないが、規模と悲惨さにおいては比類がない。世界が今もって指弾するのは慰安婦に対してきちんと謝罪・補償を行なわないばかりか、慰安婦問題を無視する政治家や勢力が依然として根強いからだ。

 

敗戦国として負わなければいけない責任はしっかり負わなければならない。責任回避は許されない。

 

敗戦国としての責任という言葉はどういうことなのか。戦争に負けたから責任を認めるわけではない。侵略戦争と戦争犯罪の責任を認めたからこそそれに対する責任を果たすべきなのだ。負けたら責任を持ち、勝ったら無責任というのでは正義がないではないか。

 

しかし戦場での性の問題で、日本だけが性的奴隷を活用していたと言うのは違う。性的奴隷の根拠は、日本が国を挙げて暴行脅迫をもって慰安婦を拉致し、仕事をさせたと言うこと。ここはどうなんだ?

日本だけではないにしろ、日本軍性奴隷が一番際立っていたのは隠れもない事実。それは名乗り出た被害者の数でもわかる。奴隷の定義に暴行・脅迫・拉致は必ずしも必要ない。甘言をもって誘ったり、だまして連れ込んでも奴隷にすることはできる。


 

この点を日本政府はあいまいにしている。強制連行があったのかなかったのか。日本政府は明確にすべきだ。日本の責任を回避するためではない。世界からの不当な評価について異議を申し立てるために。もちろん、強制連行の有無にかかわらず日本が反省することは言うまでもない。

 

強制連行の有無に問題をすりかえてきたのが自民党政府のやり方だ。そもそも世界は強制の有無などを問題にしていない、性労働の強要こそが問題の中核だ。ところで、わからないのは強制連行がないから性奴隷ではないといいながら、日本はなにを反省すべきというのか意味不明。

 昔、女子高生コンクリート詰め殺人事件というのがあった。同級生の女子高生をだまして自宅に連れ込んだ挙句、仲間の高校生と強姦し続けた末に殺害に及んだという世間を驚かした凶悪事件。この事件では暴行脅迫をもって拉致したわけではない。しかし、連れ込んだあとは誰が見ても性奴隷。

 

慰安婦の強制連行の有無は、現在日本政府はあいまいにしている。河野談話で明確にしていない。むしろ2007年閣議決定では、直接証拠はないと言う。そして先日の閣議決定では、新たな証拠が出てくる可能性があると言う。日本政府は逃げている。これが国益を害している。

 

河野談話は軍が慰安所を設置、管理し、軍は業者が甘言、強圧によって慰安婦を募集することを知りながらこれを認め、慰安婦を移送し、痛ましい生活を慰安婦にさせたことを明確にしている。これを覆そうとすることこそ、国際的な批判を浴び、日本の信用を失墜させることである。 

 

文献証拠だけでなく、慰安婦の証言、第三者の証言を重ね合わせて事実認定をすることもできる。人の供述のみで事実認定するノウハウは裁判で確立されている。日本政府は、慰安婦の強制連行の有無について、本気で事実認定すべきだ。そしてこの論争に決着を付けるべきだ。

 

すでに文献証拠でも日本政府・軍の関与は明らかであり、慰安婦の窮状については慰安婦の証言が多数ある。これ以上なにが必要か。論争するのであれば、資料を元に反論せよ。思い込みでこれ以上慰安婦を傷つけることは許されない。